委員会についてAbout
委員会の目的・活動概要
長年増加を続けてきた日本の総人口が、2007年頃をピークに減少に転じました。これは、日本が初めて経験する社会現象で、今後、社会の様々な場面で影響が現れることが危惧されています。建設分野では、特に15歳から64歳までの生産年齢人口の減少から担い手不足が益々深刻になることが懸念されています。
一方で、ICTを初めとする近年の技術開発にはめざましいものがあり、これらを積極的に取り入れて建設分野における生産性を画期的に改善し、人口減少社会にあっても持続可能な産業にすべくその体質を変えていこうとする取り組みが動き出しています。建設ロボットの導入もその一つです。
建設用ロボット委員会では、1985年から35年以上にわたり建設分野におけるロボット技術の開発と普及に向けた取り組みを行ってきました。活動を始めた当初は、高度経済成長期のまっただなかで、建設投資の急激な拡大から深刻な人手不足が社会問題にまでなり、人に代わって作業を行う建設ロボットの研究開発が精力的に行われていました。その後いわゆるバブル景気が終息し、経済低迷が続く中で人手不足の問題は解消されましたが、建設ロボットの研究開発は、多発する自然災害現場での作業や維持管理で人が行うことが難しい環境や条件下での作業など、危険や苦渋な作業の解消を目的として続けられました。この間、GPSをはじめとする衛星測位技術の普及や精度の高いセンサー技術の開発導入などにより、建設ロボット技術は進化しましたが、多様で変化の大きい作業環境や作業条件に対応することの困難さから、離れたところから操作を行い、多様な状況への対処は人が判断する遠隔操作技術として。改良が続けられてきました。しかし、この建設ロボット開発は、現在、新たな進化の段階にさしかかっています。AIをはじめとする実用的な判断機能を具備することが可能になり、自律型建設ロボットが実施工で使用されるようになってきています。
当委員会では、活動を始めて以来、このような社会の変化と建設ロボットの開発動向に対応して委員会の運営体制を柔軟に見直し、現在は、年々激化する自然災害における人命救助や復旧工事の作業に対応するための技術の開発と普及を目指す「災害・事故小委員会」、劣化や老朽化が深刻化する土木構造物のメンテナンスにロボット技術を導入してその高度化を図ることを目指す「維持管理小委員会」、一般工事においてもロボット技術を導入し省力化や工事の品質向上を図ることを目指す「建設施工小委員会」、他分野を含め分野横断的に建設用ロボットの開発、普及促進を進めることを目指す「新技術小委員会」による小委員会活動を中心に積極的な活動を行っています。
国が進めるSociety5.0の実現とそれを支えるDXの進展を背景に、建設も急速に変わっていくことになります。一般の工事現場でも建設ロボットが当たり前のように使われている時代が近い将来、確実に来ることを信じて、建設用ロボット委員会はその実現のために努力を重ねています。皆様のご協力とご支援をよろしくお願いいたします。